第9章 似た者同士の扱い方(双黒夢)
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「じゃあまずは自己紹介しようか!」
「そうだね!じゃあ私からやっちゃうね、私はーー」
えー、....私の思考は只今大忙しです。
....まず第一に、何故合コンなどに私がいるのか。
男女5人ずつが向かい合わせに座り、わいわいと賑やかに話を進めていく中で、私は一人固まっていた。
今日、私は隣の女から強引にここに連れてこられた。
それなりの身なりをして来いと言うもんだからそこそこ何処にでもいそうな人の服を着てきたけれど、まさか合コンに連れてこさせられるとは思ってもいなかった。
第一私は合コンなど行ったこともないし、参加したこともない。
何故ならあまり合コンというものを良いものだと思ってなかったからなのだけれど、こんな形で参加することになるとは想定外だ。
そして最悪なのが、目の前にいる二人が何故かこの場にいることである。
其奴らにちらりと目を向ければ、ばっちり目が合う。にこりと微笑むあたり猫被っているのが丸わかりである。
対してもう一人は私の事情をだいたい把握したのか、哀れむような瞳で私をなだめてくる。
....もう一度言うが、何故此奴らがいるんだ。
「あ、じゃあ次は私かな。改めて初めまして。太宰治です、今日はよろしくね。」
「俺は中原中也だ。よろしくな。」
二人の猫かぶりスマイルは健全なのか、その笑顔で周りの女子は少し息を飲んだ。
きっと、此奴らに狙いを定めたのだろう。
殺してやりたいくらいに清々しい笑顔に殴り込みたくなるのを堪えて、回ってきてしまった自己紹介をする。
「あー、は、初めまして。柊っていいます...、よろしくお願いします!」
控えめに、しかし作り笑顔を見せながら5人の奴らに向かって猫を被った。
そうすれば太宰は笑いを堪えているのか口元を少し緩ませやがった。
マジ殺すぞこいつ。
「自己紹介も終わったし、乾杯しようか!」
「うん!せーの、乾杯〜!」
カンカンとグラスがぶつかって鳴り響く音に顔をしかめる。
始まってしまったことにと、太宰を殺したい勢いを抑えるためにだ。
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