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喫茶店でのんびりと(文スト)

第6章 初めての感情です(中原夢)





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中原さんを見れば、酔いを覚ます為なのか水の入ったグラスを揺らして氷を鳴らしていた。


....今の質問は特に何があるって訳じゃないだろうけど、此方としては上の人からそんな質問され返されたのは初めてだ。

というか、こういう話題をするのも初めてなのだけれども。....しかも、気になっている人に。



「あはは、そんな人いたらいいですねぇ。」

「って事はいねぇのか。」

「....はい...。」



少し息をついて、空になったグラスを見つめる。中の氷がライトに反射してやけに綺麗で、少し見惚れてしまう。



もうお酒が飲める歳にもなったのに、まだ彼氏が出来たことがないのは相当痛いところだ。
そういうのって経験してなんぼの世界でもある訳だし...、経験し過ぎているとあれだけども。

とりあえず何人付き合ったかは重要ではない事は承知しているけれど、やはりこの歳で1人もいないとなると少し焦りが生じるものだ。


例えこの世界にいたとしてもその話題は尽きる事はないので、全くもって不快である。



「...、中原さんは女性の方とお付き合いになったことって有りますよね..。」

「まぁ、其れなりの付き合いは有るぜ?」

「ですよね...、」



私よりも1、2歳ほど上の中原さんはやはり経験も有るのだろう。
分かりきっていた彼の答えに、少し落ち込んでしまう。


彼を見てみると、何処と無く男の人としての色気というか雰囲気が漂っている。
例え恋人や好きな人がいたとしても、結果的にこの人に堕ちてしまう人も居るだろうに。

まぁ、それくらい中原さんは惹かれてしまう要素がたくさん有る。


反対に、私には人を魅入る何かがあるわけでもないので、正直なんでそこまで惹かれてしまうのか聞いてみたいものだ。

....本人は多分無自覚なんだろうけど。




「そんな見つめられると穴が空いちまうんだが?」


じっと見つめ過ぎたせいか、中原さんがニヤリとこちらをみて笑った。


その笑みに、どきっとする。



「す、すみません...、」



反射的に謝ってしまったのが面白かったのか、口元を少し抑えながら肩を揺らした。


そ、そこまで面白かったのだろうか...?

戸惑う私に対して、中原さんは悪いと言って一息ついてから水を飲んだ。


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