第1章 アルバイトと探偵社さんと(太宰夢)
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「いやぁ、朝から元気だねぇ。」
「朝って...、もうお昼ですよ?何か食べますか?」
「そうするよ。」
そう言って頼んだのは珈琲とサンドウィッチ。とその前にこの間バイトの先輩に言われた一言を思い出した。
太宰さんが何かを頼む時には必ず聞くようにと言い付けられているのだ。
「太宰さん、お財布は?」
「...........、」
私から視線を逸らして、目を伏せる。
と、このようにこの人は毎回後払いを積み重ねて結果半年分も払っていないんだとか。
そんな一文無しの人に食わせるものはない!と言いたいところだけど、生憎本当にお腹が減っているのかぐー、とお腹の音を鳴らした。
「..、お腹減ってます?」
「...、うん。」
しょんぼりとした顔はすごく大人気ない。
毎日大変な仕事をしているのにあまり給料が出ないなんてどうなんだろうと思うけど、自殺マニアと国木田さんが言うからにはその時にお財布を落としたりしてるんだろうに。
しかし私の中の良心は疼く。
このままではまた敦さんに食事代を払わせる気だ。敦さんがなんせ可哀想に思えてくる。
「.....わかりました。じゃあ今日は私の奢りにしてあげます!」
あまりお金を使う機会がない、と言うわけでもないけれど、食事代一人分を払うお金は余裕で持ち合わせている。
「いやぁ、流石の私でも遠慮するよ。」
「また敦さんか国木田さんですか?」
「....、」
「太宰さんはそんな人なんですねー、武装探偵社の皆さんが可哀想です...。」
「........、」
高校生の私に言われているからかどんどん苦い顔をしていく太宰さんに、私はお皿洗いの手を止める。
そして泡が飛び散らない程度の勢いで太宰さんに指差す。
「太宰さん、勿体無いですよ。」
「顔も整っていてレディファーストもできる。そんなに優しいのに食事代を払えないなんてすーごく勿体無いです。」
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