第5章 恨まない(中島夢)
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......実際のところ、私も少し眠気に誘われているし。
片耳にイヤホンを付けて、いつも聴くよりも少し小さめの音で音楽を流す。
そして目を瞑って寝る体制に入ろうとした時、突然右肩に何か重みが加わった。
「...?」
何事かと首を動かして隣を見れば敦くんが私の肩に頭を預けている状態で、完全に此方にもたれかかってきている。
やけに重いと思ったのはそのせいだろう。
「...んぅ..、」
口をモゴモゴとさせて寝る様はさながら気持ちよくお昼寝をする保育園児に似ている。
それがどうにも私の母性本能とやらをくすぐってきて、ソッといつの間にか頭を撫でていた。
そうすればへにゃりと笑って、もっとと言わんばかりに擦り付いてくるのだ。
多分本人は無意識なのだろうけれど、相当タチの悪い可愛さである。無意識でこんなに甘えてくるなんて、きっとお姉様方にモテるに違いないだろうに。
....いや、現実敦くんは先輩方、尚且つ幅広い年齢層にモテている。
はて、何度告白された事を相談されたことか。
しかも、敦くんに手紙を渡して欲しいという女の子が毎月何人も現れるもんだから、全くこっちの身にもなってほしい。
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