第3章 後ろに気を付けろ(落ち未定)
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腕を引かれて案内されたのは、お客様接待用の仕切りがあるところ。
太宰さんが他の人を呼んでくると言って、何処かに行ってしまったのを見送ってからソファーに腰掛ける。
頭の中で話す内容を整理するも、こういうところにくるのは初めてなので結構緊張する。
いえば此処にいる人は皆全員年上だし、失礼な発言をしないようにしなければならないのと、初対面なので自己紹介をしなければ。
あれやこれやと考えているうちに太宰さんが戻って来たのか、声が聞こえて来た。
....それも結構たくさん。
「お待たせ。連れて来たよ。」
太宰さんの後ろには何故か5人くらい人が連れていて、口元が攣りそうになった。
話すときにこんなに人が必要なのか、と思いつつ、私は立ち上がって全員に向き合い挨拶をする。
「は、初めまして。鬼桜柊と申します...!
こ、今回少し相談事がありまして、お伺い致しました。」
一気に集まる視線から逃れたい気持ちで一杯になる中、太宰さんは満面の笑みで「柊ちゃん!リラックス!」なんて言ってくるもんだから少し腹が立ちそうになる。
まさかこんなに人を連れてくるとは思ってなかった事くらい容易にわかる事だろうに、其れをあえてする辺りタチが悪い。
「....太宰さんの所為ですからね。」
「え、私?」
「た、確かに人を連れてくるとは言いましたけど、こんなに連れてこられちゃうと逆に話しづらいです...。」
「いやぁ、私も最初はそう言ったんだよ?だけどみんなしてどんな子か見て見たいなんて言い出してね。それでついて来ちゃったって訳だ。」
てへ、と舌を出されてもなぁ...。
「...それで柊ちゃん...だったかな?」
黒髪の女の人がヒールを鳴らしてかつかつと私の前にやって来た。
私は思わず瞬きを数回。
20代後半辺りの人だろうか、とにかくものすごい美人さんが来たので唖然としてしまった。
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