第3章 後ろに気を付けろ(落ち未定)
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2人に送ってもらった次の日、早速名刺の住所を手掛かりにスマホ片手に街中を歩いていた。
電車を乗り継いで3駅、其処から徒歩5分と書いていたはずなのに、10分経っても目的地らしいところに着かない。
一歩出れば都会の街が私を襲うのだから、本当にやめてほしいものだ。インターネットの地図を見てみると、あともう少しのところに来ている。
と、ここで通話の画面が切り替わった。迷うことなく私は応答のボタンを押してスマホを耳にあてがう。
「もしもし。」
《もしもし柊ちゃん?もうデパートあたりかな?》
「あ、えっとですね、此処は...、はい!デパートの辺りの十字路の通りなので、...そうですね、あと少しで着きます!」
《了解!そうそう、5階だからエレベーターで来てね。行く道少し暗いけど大丈夫だよ。》
「わかりました、わざわざありがとうございます!今からすぐにお伺いしますね、」
《はーい、気をつけて来てね〜。》
陽気な声の後にぷつっと切れたスマホをパーカーのポッケにしまい、目的地に早歩きで向かう。
そう遠くないところに見えたので良かった。しかも太宰さんが丁度良いタイミングで電話をくれたから直ぐに見つける事ができた。
(まるで私の居場所をわかっていて電話したかのよう、なんていったら失礼だろうけど。)
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辿り着いた扉には、武装探偵社、と書かれていた。それを確認したら、少し控えめにこんこんと扉を叩く。
その後に口を開こうとしたものの、入る時どうすれば良いのかわからないじゃないか。
....とりあえず、扉の外から声を掛けてみよう。
「え、っと....、あの、す、すみま....、
うへ?!」
言い終わる前に勢いよく開いた扉に、思わず後ろに後退する。
いきなりの事で心臓がばくばくしていて、変な声も出てしまった。胸のあたりを押さえていたら、いつの間にか太宰さんが目の前に立っていた。
それに再度心臓が高鳴る。
そんなことも御構い無しに太宰さんは私の手を取って待ってたよ、なんて口説くみたいに言ってくるもんだから、顔が引きつってしまう。
「....あはは...こ、こんにちは、太宰さん...。」
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