第3章 後ろに気を付けろ(落ち未定)
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「太宰さん、あの、念のために聞きたいんですけど...、」
「ん?なんだい?」
「....今日だけですよね?その、付けてきてたのって。」
控えめに太宰さんに問う私に中原さんが目を見開かせた。太宰さんも目をパチクリとさせて首をかしげてみせる。
その姿にホッとため息を漏らす。
...やっぱり太宰さんじゃなかったか。
「あー、太宰さんすみません。最近少しつけられてる気がしたんで...、あはは。」
「あぁ?つけられてる?」
「私の気のせいかもしれないんですけど、最近後ろにつけてくる人がいて...。顔とかあんまり見てないんで確実...って訳ではないんですけど。」
偶に有るのが、後ろを付けているつもりじゃないのに前を歩いている人にチラチラ見られたりする事。警戒心が強いのは良い事だと思うけれど、此方としてもその行動はあまり心地よくない。
けれど、つけられてるのでは、と恐怖心を抱いてしまうのは誰だって同じだ。
だから、私も最初のうちはここ近辺に住む人と帰りが重なったと思っていたのだ。しかし其れはあまりにも帰る時間が重なりすぎていたし、なんせ物陰に隠れながらついてきていた。
明らかに怪しいのは確かだ。
「それは気味が悪いね。」
「うーん、でも何をされる訳じゃありませんし。対応に困ります。」
「でも、其奴がいずれかは何かしてくるかもしれねぇだろ?」
「...、それは相当の物好きだけかと。」
もしストーカーをしていたのなら、私の行動は知っているはず。
基本的に歩きスマホはせず、片耳で音楽を聴きながら帰っているのだけれど、頭の中で考えている妄想が酷かったりすると小声でボソボソと喋ったり、時には気持ち悪い笑声をあげることもある。
しかも見た目も都会っ子の学生に比べると幾分も劣るし、顔が特別良いわけでもない。
....ならば何故あの人はつけてくるのか。
幾ら考えても答えは見いだせない。
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