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いとし、いとし【短編集】

第27章 封印魔法は彼の言葉【krk 高尾和成】


ぐいっと腕が引かれて、自席から強制的に立ち上がる形となった。

椅子が倒れた衝撃を床から感じる。


そのままグイグイと引かれて、黒板の前に連れて行かれた。

しきりに彼の肩を叩いてみるけど、返事はない…。

背中に、たくさんの視線を感じる中、
高尾くんは黒板に文字を書きはじめた。



【言葉がわからなくても悪口かどうかはわかる】

【結依は皆の言ってる事、ちゃんとわかってる】

【これ以上傷つけるなら、俺が許さない】



それだけ書き終えると、クルリとこちらを向いた。


ぐいっと抱き寄せられて、頭が彼の胸に収まると、高尾くんがクラスメートに向かって何かを叫んでいる。


胸の動きで、息づかいで、振動で、それを感じた。


何を叫んでいたかは、顔を見られなかったから分からないけれど…。


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