第27章 封印魔法は彼の言葉【krk 高尾和成】
あれから数日。
私に対するヒソヒソは無くなった。
少しだけど、私に話し掛けてくれる人も出てきた。
全部、高尾くんのおかげ。
ただ…
あのとき、彼が何を皆に叫んでいたのかが未だにわからなくて、
高尾くんに何度も聞いてみるけど、
「ないしょ」
なんて、はぐらかされてしまう。
それでも…
聞くたびに、珍しくアワアワとして少しだけ顔を赤くする彼に、言葉はわからなくても心が暖かくなるのは確か。
きっと、今、思い返すと恥ずかしいんだろう…。
私のために、勇気を出して行動してくれた彼の為に
『私なんて…』
この言葉は、もう言わない事に決めた。
彼が好きだと言ってくれた私の事を、
私自身も好きになろう。