• テキストサイズ

いとし、いとし【短編集】

第27章 封印魔法は彼の言葉【krk 高尾和成】


クラスメートが近寄ってきた。


私に用があるわけではないのは明らかで、彼は高尾くんに話し掛けている。



きっと、今の事だろう…。

何を言われるんだろう…。

いけないと思いつつも、クラスメートの唇を読んでしまった。



『覚えたのか?』

『すごいな』


はじめは高尾くんを誉め称える言葉。

秀徳は文武両道で課題も少なく無い上に、彼が部活で忙しい事を皆知っているから驚いたみたいだ。



『なんで?』

『いちいち面倒』



次はきっと、私に対する言葉。


なんで、こいつなんかと付き合ってんの?
聞こえないし、しゃべれないじゃん。
手話なんていちいち面倒じゃないの?


たぶん、こんな感じの事を言っているんだろう…。


聞こえない事を知っている分、言葉に遠慮はない。
それ以上は目にとめたくなくて、下を向いた。




やっぱり、私なんか…。
/ 172ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp