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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第6章 信頼


***


「……おはよう、アヴェンジャー。」
 割れたステンドグラスから零れ落ちてきた光で、目を覚ます。朝のようだ。
「よく眠れたようだな。此方(こちら)は、いつでも出られる。」
「ありがとう。」

 身支度を整え、非常食を口にする。アヴェンジャーは、またコーヒーを淹れてくれた。インスタントのコーヒーだろうと、アヴェンジャーが淹れてくれたからか、私にとっては美味しかった。でも、本人にそこまでは言えないから、普通にお礼を言って、一滴も残さずに飲み干した。

 支度を終えたので、教会を後にする。ふと、自分の右手に目をやった。私の右手には、残された2画の令呪があった。
「やっぱり、令呪は回復しないね。」
「当然だろう。」
 カルデアとの通信すら切れているのだ。令呪の補填など、夢のまた夢だ。頭では理解しているつもりだが、こうして、自分がカルデアの庇護下にいないという事実を見せつけられるのは、どうしたって心細くなる。けれど私には、他でもない、アヴェンジャーがいるのだ。5人のサーヴァントのことは護れなかったけれど、今この瞬間私の傍にいてくれるアヴェンジャーだけは、私が護りたい。

「じゃあ、ついて来て、アヴェンジャー。今度は私がアヴェンジャーを護れるように、頑張るから。」
 昨夜口にした言葉を、繰り返す。
「クハハハハハ! 随分と情熱的だな、マスターよ。 それでは俺も、存分に応えるとしよう。」
 アヴェンジャーはどこか満足そうに、その黄金の瞳を向けてきた。朝の光の中で輝くその瞳は、ただ美しかった。もう少しの間、アヴェンジャーの瞳を見ていたい気持ちにも駆られたが、そこはグッと堪えて、戦闘に向けて自らを切り替える。
「信頼してるよ、アヴェンジャー!」



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