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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第5章 シャドウ・サーヴァント



「立て、マスター。」
 アヴェンジャーの、玲瓏(れいろう)な声が響く。
「……、っく、ぐす、……、ぅ……。あ、アヴェンジャー……。」
 酷い顔だろうとは思うけれど、顔を上げる。
「何度も同じことを言わせるな。そこで泣いていては、むざむざ殺されるぞ? 嗚呼……、何者かに『殺される』ぐらいならば、いっそ俺が殺すがな。」
 私を見下ろすアヴェンジャーの瞳は、黄金色に燃えていた。その瞳が燃え盛る限り、私は何度でも立ち上がれる、そんな気がして。


―――――あぁ、そうだ。私には、やるべきことが残っている。泣いている場合じゃない。
 私はゆっくりと立ち上がる。そして、汚れた手で涙を拭った。

「アヴェンジャー。サークルを、完全に破壊して。」
「心得た。」

 アヴェンジャーは、その炎で、サークルを焼き払った。目を閉じれば、マシュとの思い出がよみがえってくる。でも、感傷に浸っていたところで、カルデアには帰れない。今の私がこの目でみるべきなのは、この状況と、隣で私を導き続けてくれる、アヴェンジャーだけだ。だから私は、アヴェンジャーの炎を、目を逸らさずに見つめ続けた。アヴェンジャーの炎を以てしても、地脈に根付いたそれを完全に破壊するのにはそれ相応の時間が掛かるのだろうか。炎は静かに、それでも相当な時間、燃え続けた。


「……終わったぞ。これで、“通信阻害”と“隔離結界”、“魔術の阻害”、そして“魔力吸収”の効果が消えた。」
「それじゃあ、カルデアとも、これで繋がるかも……」

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