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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第5章 シャドウ・サーヴァント



「じゃ、じゃあ……。アルトリアも、エミヤも、クー・フーリンも……。」
 私は愕然とした。膝から崩れて、私は地面に手をついた。
「メドゥーサも、メディアも……!」
 私の視界には、地面しか映っていないのに、それすらも、涙で滲む。
「……っ、私を、罠に嵌めるための……、“燃料”になったって、こと……?」
 そんなの、酷い。あんまりだ。私を護るために来てくれた5人が、“燃料”として利用されたなんて。それに、このサークルは元々、オルガマリー所長とマシュが、カルデアと繋がれるようにするために、設置してくれたものだ。目を閉じれば思い出す、初めてのレイシフト。楽しいことばかりだったなんて、到底言えない旅だったけれど、私にとっては忘れられない、あの日々。ここにマシュはいないけれど、ここにはマシュが作ってくれたサークルがあるから、どこかで繋がっているような、そんな気がしていたのに。
「恐らくは、各々(おのおの)“隔離”され、“吸収”されたのだろうよ。」
「じゃあ、今まで私を殺そうとしてきた、あの人間みたいなものとか、大きな怪物も、みんな……?」
「恐らく、サーヴァントの魔力を“動力源”として、再利用したのだろう。この地の霊脈は、相当に摩耗している。そうでもしなければ、この元・特異点に、それほど強力な敵性存在が現れるとは考えにくい。」
 アヴェンジャーは、そうキッパリと言い放った。
「みんな……。ごめんなさい……!」
 涙が溢れて、止まらない。私が、迂闊(うかつ)だったばっかりに、大切な皆を、酷い目に遭わせてしまった。魔術師として半人前なことについて、自覚はあった。でも、これじゃあ、マスターとしても、最低最悪だ。人理修復が、何だというのか。あんなにも力を尽くしてくれた、大切なサーヴァントを、そんな目に遭わせるなんて。マスター、失格だ。
「……っく、ぅ……うぅ……。」
 嗚咽(おえつ)が漏れる。止まらない。
「ひ、……っく、っう、ぁ……!」
 地面についた両手を、ぐっと握りしめた。土しか掴めない。5人は、戻らない。


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