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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第5章 シャドウ・サーヴァント


「だから、あくまでも“阻害”と言っただろう。魔術の“完全阻止”ではない。それに、そもそもサーヴァントと契約するなどということは、本来ならば大魔術に相当する。令呪の使用も然りだ。」
「あ、だからか……。再契約した後も、私とアヴェンジャーの魔力パスが弱くなったのは……。」
「恐らく、その推測は正しい。俺もあの時は、宝具を使用し、魔力を一気に消費したが故だと思っていたが、どうやらそれは違っていた。恐らく原因は、この術式だったのだ。」
「あとは……。」
 言いかけて、アヴェンジャーはその顔を曇らせた。
「いい。ちゃんと言って。」
 覚悟なら、決まっている。現状を正しく認識しなければ、状況を打開することなど、到底できない。

「恐らく、“魔力吸収”の術式だ。」
「!?」
「先程、“隔離結界”と言ったな? 考えてみろ。通常、結界を維持するのには、それ相応の魔力を必要とする。当然だが、敵となる存在を生み出すにも、それを使役するにも、魔力が必要だ。分かるな?」
「でも……。」
「そう。此処はご覧のとおり、壊滅した都市だ。そのような“燃料”など、ほとんど見当たらない。霊脈から、魔力を吸い上げることも不可能に等しい。まぁ、特異点独特の不安定さから、時々魔力を多く含む“獲物”が紛れ込むことはあろうがな。しかし、そんなことは極めて稀(まれ)だろう。だが、……お前は、極上の“獲物”を連れてきたであろう……?」
 そう言って、アヴェンジャーは口の端を吊り上げた。白く、鋭い犬歯が剥き出しになる。
「……!!」
 その瞬間、私は理解した。――――――これは、間違いなく、私を誘い込み、仕留めるための、意図的な“仕掛け”だ。もはや、疑いようもない。この特異点すべてが―――――――罠だったんだ。


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