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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第5章 シャドウ・サーヴァント



 そうこうしている間にも、次々と増えていく、黒い影。まるで、際限などないかのように、異様な召喚が繰り返される。100、200、300……と増えていくところで、私は数えるのを止めてしまった。瞬く間に、地上は、骸骨の怪物と、『人間のような存在』達で埋め尽くされてしまった。これではまるで、再び地上におりることすら、不可能だ。
「……。」
 アヴェンジャーに宝具を開放させれば、全ての敵を一撃で倒しきれるだろう。でも、それをしたとして、またアヴェンジャーの魔力水準が、危険な水準に到達しないとも限らない。だから、ここで私が―――――マスターとして、私が下すべき決断は、たったひとつ。

 右手を掲げ、隣にいるアヴェンジャーへ向き直る。

『令呪を以て命令する。アヴェンジャーよ! 宝具を以て、地上全ての敵を、殲滅せよ!!』
「クハハハハハ! 良い判断だ!」

 刹那、右手に走る、軽い痛み。令呪の1画が消費され、しかし、パスを通じてアヴェンジャーに魔力が充填(じゅうてん)される。
 アヴェンジャーは、目下に広がる敵を全て彼の獲物と定め、その黄金の瞳を滾(たぎ)らせた。その姿は、獰猛な肉食獣のそれだった。黒い炎を纏って、炎天を駆ける。


『我がゆくは、恩讐の彼方―――――
 虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)!!!』



 アヴェンジャーの宝具により、シャドウ・サーヴァントもどき共々、全ての敵が一斉に蒸発した。

「……造作もないな。マスター。」
 敵影消滅の確認後、家屋の上にいる私のところへ、アヴェンジャーが来てくれた。アヴェンジャーは再び私を抱きかかえ、軽く跳躍する。地上に下ろしてもらい、周囲を確認する。
「塵(ちり)ひとつ残さない、見事な殲滅(せんめつ)っぷりだね。流石はアヴェンジャー。」
「当然だ。俺は――――、お前のサーヴァント、なのだからな?」
 そう言ってアヴェンジャーは、不敵に笑った。
「うん。それじゃ、改めてサークルの調査、手伝ってくれる?」
「無論だ。」
 未熟な私では、サークルの調査すら、ひとりでは充分に出来ない。でも、今はそんなことを気にしていられない。早く、サークルを調査しないと。




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