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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第5章 シャドウ・サーヴァント


 見れば見るほど、妙だ。何というか、霊基が歪(いびつ)なのだ。見た目もさることながら、表面的には、間違いなくキャスターであり、ルーラーなのだが、何かが違う。まるで、色々な材料を無理矢理に寄せ集めて、それらしく見せているような、不自然な霊基をしている。おまけに、ひどく不安定だ。
「アヴェンジャーの言う通り、変だよ。あのシャドウ・サーヴァント、戦うだけの力なんて、ほとんど無いと思う。」
「だろうな。」
 それでは何故、サークルを守るように存在しているのか? その疑問は、わずか数秒後に、解決された。

 キャスターがその本を開き、ルーラーが旗を掲げた。それだけで、どこからか湧いてくる、黒い影。
 足元に次々と展開される、漆黒の召喚陣。

「――――跳ぶぞ、マスター!」
「うん!」
 アヴェンジャーは素早く私を抱きかかえ、空中へ跳んだ。ひとまず、ギリギリ崩れ残ったのであろう家屋の上へ、着地させてくれた。
 高い場所から見ても、その光景は異様だった。キャスターとルーラーを守るようにして、次々と召喚されていく敵影。キャスターから召喚されるモノは、此処に来てから何度も見た骸骨の怪物で、ルーラーから召喚されるモノは、港で見た、あの『人間のような存在』達だった。確かに、違う。違っている。キャスターのジル・ド・レェが召喚するものは海魔だし、ルーラーのジャンヌ・ダルク・オルタが召喚・使役するものは、竜種だったはずだ。ジル・ド・レェが骸骨の怪物を召喚して戦っている姿など、後にも先にも見たことが無いし、ルーラーのジャンヌ・ダルク・オルタだって同じだ。彼女が怨霊となった人間を召喚・使役している様子など、見たことが無い。

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