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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第21章 第3部 Ⅶ





***















 およそ、ニンゲン共の与り知らぬ場所、ただひたすらに黒い、暗い、昏い場所。
 あらゆる残骸が落ちて、沈み、淀み続ける奥底。あらゆる精神の終着地点と言えば聞こえが良いかもしれぬが、現実はそれほど美しくない。ニンゲンの業など、醜さの塊ですらある。此処は、行き場を無くしたあらゆる暗黒の残滓が、最期の最期に流れ着く場所。影や幻、夢の残骸、奥底に沈殿する暗きモノだけではない。正真正銘のノイズ。何処かにて打ち棄てられ、朽ちて零れた一滴。いかなる事も成し得ず、ただ沈み、淀み続けるしかないモノ。



「―――――今宵はまた、亡霊共が多い。それに、英霊共のノイズにしては……。……嗚呼、そういう事か。」
 魔術的干渉でも受け、この亡霊共の群れが“呼び寄せられた”のであろう。オレは、瞬時に理解する。

 そうだ。ボヤいていても始まらぬ。オレの仕事は、この娘に巣食う亡者共を、ひたすらに焼き払う事だ。あの娘の魂に巣食うモノであれば、英霊共であろうとも、有象無象の無念や執念であろうとも、等しくオレの獲物だ。


 黒き炎が音もなく迸る。
 空間ごと、焼き払っていく。


「――――ほう?」
 随分と、ノイズの酷い一角に突き当たる。ただひたすらに黒い、暗い、昏い場所の、さらに深い場所まで堕ちていく。途中、魑魅魍魎共がオレへと襲い掛かる。余程に強い怨念が溜まっているのか、或いは……。
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