• テキストサイズ

恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第20章 第3部 Ⅵ ※R-18





――――――『えぇ。その通りです、お嬢さん。それがあれば、お嬢さんの恋心を知りながらも、あのように他の女と睦み合っている男に、懲罰を加える事だってできますとも! 令呪とは、サーヴァントを律するための道具。自害を命じることだって、不可能ではないのですから!』
――――――『えぇ、その通り! お嬢さんには、それだけのお力と、何よりも権利があるのですから!』
 私の頭の中には、先程のシェイクスピアの言葉が強く残っている。それが、私の頭の中をずっと反響している。
 私が――――、私が今ここで、令呪を使えば、目の前の光景は止まる? 私の、この胸を引き裂くような痛みも、止まる? 私が、彼を令呪で律すれば、或いは自害させれば、この痛みは無かったことになるの―――――――?
 そんな考えが頭をよぎる。刹那、私は我に返る。

 ――――、今、私は、何を――――?


 ううん。今はとにかく、アヴェンジャーを取り戻して、一緒にカルデアへ帰還する、その未来だけを考えないと……!
 けれどそこで再び、シェイクスピアの言葉が蘇る。
『それに、吾輩が描いているのは、復讐鬼に対する救済の物語。』
『えぇ、その通り。いくらアヴェンジャーのクラスとして現界していようと、その魂を悪意に浸し続けることは、永久に続く拷問にも値しましょう。』
「……ぁ……。」
 そうだ。アヴェンジャーはアヴェンジャーとして在る限り、その魂に安寧が訪れることが無い。その魂が燃え尽きるまで、憎悪と怨念にその心を晒し続けることになる。それは……、それを強いることは、私のエゴではないだろうか? 私の都合で、彼に重過ぎるモノを背負わせるのは、私の―――――……。



/ 312ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp