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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第20章 第3部 Ⅵ ※R-18



 モンテ・クリスト伯爵は、着ていた服を脱ぐ。上半身が露わになる。その肉体は鍛え上げられており、何ひとつ無駄がない。
『っ……。』
 けれど、傷だらけだった。―――――いや、傷跡だらけ、というべきか……。兎に角、おびただしい量の傷が、その上半身には刻み込まれていた。

『ぁ……。』
 モンテ・クリスト伯爵が、ズボンへと手を掛けた瞬間、私は自分の顔に血が上っていくのを感じた。よくよく考えれば、いくらシェイクスピアの宝具によって展開されている空間だろうと、ここは男性の私室だ。本当ならば、私が見てよいものではないだろう。慌てて、視線を逸らそうとしたところで、私は異常に気が付いた。
『……!?』
 視点が動かない。目を閉じようとしても、別の方向を見ようとしても、一向に埒が明かない。どうやら、視点が固定されてしまっているらしい。でも、そんなことに何の意味があるのだろう……。その疑問に対する回答は、すぐに……、嫌でも理解することになる。


「伯爵様。いらっしゃいますか……?」
 コン、コン……と、控えめなノックの音が響く。声の主は、明らかに女性。それも、精々20代前後だろう。年若い、ともすれば幼さすら残る、可憐な声。
 扉が開かれる。
「……ァ……ッ……!」
 モンテ・クリスト伯爵は、ひどく驚いた顔をしている。
「伯爵様……、どうか、わたくしの非礼をお許しください……。」
 そこに現れたのは、橙色の髪が美しい、神秘的な雰囲気の美女だった。白いドレスには、光り輝くばかりの装飾が散りばめられており、顔は薄いヴェールのようなもので覆われているが、むしろその美貌はひり引き立って見える。円らな瞳は愛くるしく、その白い肌は月の光を受けて上品に輝いている。
 もしかして、この女性は……。いや、もしかしなくても、間違いない。彼女こそが、異国出身の寵姫―――――――。
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