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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第20章 第3部 Ⅵ ※R-18










 またもや、場面が切り替わる。
(ここは……?)
 今までとは明らかに違う。室内だが、その内装は、これでもかと言うほどに豪奢なものだった。高価な調度品などというものに、およそ縁もゆかりも無い私でも、一目見ただけで、全てが“本物”だと分かる品々。何の繊維が使われているのかすら分からない毛の長い絨毯に、教科書で見たような絵画。日本製っぽい花瓶なんかも置かれているが、この時代に日本の調度品を手に入れようとすれば、一体どれほどの人脈とお金が必要になるのか、皆目見当もつかない。それでいて、嫌味なく纏められている。絢爛豪華という言葉は、およそこの風景の為だけにあるような錯覚にさえ陥る。

 私が呆然としていると、入り口の扉が開けられる。入って来たのはもちろん、エドモン・ダンテスだ。ただ、先程までとは随分と雰囲気が違う。髪は白いものの、その長い髪はきちんと手入れされており、束ねられている。服装はといえば、大きな宝石があしらわれている漆黒の外套に、いかにも貴族風の上下。首元のスカーフと、大きな宝石が付いた首飾りを取り外したかと思えば、脇に控えている従者へと無造作に手渡した。恐らくは相当高価なものを身につけているにもかかわらず、それらに全く嫌味が無い。

「伯爵、お茶か珈琲はいかがですか。葉巻も用意してございます。」
 従者の女性が、恭しく頭を下げる。
「今は不要だ。下がれ。」
「はっ。」
 従者の女性は、無駄のない動きで下がった。
「では、夜も遅うございます。寝室にてお休みください。」
 従者の男性がそう進言すると、エドモン・ダンテス―――――いや、モンテ・クリスト伯爵は、静かに頷いた。
 ただの寝室のはずだが、それにしたって部屋が広い。それに、家具ひとつひとつだって大きい。私にはよく分からないが、どれもこれもが、一級品なのだろう。

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