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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第20章 第3部 Ⅵ ※R-18










 場面が、また切り替わる。今度は、田舎町の小屋……? 海が見える。結婚式場から見えた海と同じだ。ということは、間違いない。ここはエドモン・ダンテスの故郷、マルセイユなのだろう。小屋の表札には、何か文字が書かれていたが、何の文字なのか、判別できなかった。お世辞にも、綺麗な建物とは形容しがたい。言葉を選ばないならば、“オンボロのほったて小屋”と表現するのが適当だ。
 シャトー・ディフにいた時よりも、さらに白髪の割合が増したエドモン・ダンテスが、その小屋の前へ導かれるようにしてやって来て、その扉を開ける。

 小屋の中には誰もおらず、室内には埃が積もっていた。もう、何年も使われていないということだろう。室内には、誰かが生活していたような雰囲気も無く、簡素な家具すらも揃っていないような状態だった。
 そして、エドモン・ダンテスは聞かされる。自らの老いた父親が、自らが投獄されていた14年の間に、亡くなってしまったことを。死因は、餓死―――――つまるところ、生活の窮乏による死だった。エドモン・ダンテスは、寂れた集団墓地へやって来るやいなや、堰を切ったように叫び出した。

「嗚呼! 知っていたとも! 忘れる筈が無かろう!! 俺の父は、俺が無実の罪により投獄されている間に、飢えと孤独の中、死んでしまったのだと!! 人間(オマエタチ)は、いつもそうだ!! 強い者には媚び諂(へつら)い、弱い者は僅かでも喰い物にする!! ク、クク……、クハハハハハハハハハハハ!!!!」
 エドモン・ダンテスは、狂ったように笑い始めた。
「俺は! 人間(オマエタチ)を赦しはせぬ!! 復讐を行うのが神だけと言うのならば、俺が! この俺が!! 神になるしかあるまいて!! クク……、ハハハハハハハハハハハ!!!!」
 その瞳は憎悪に濡れ、ぬらぬらと光っている。夕陽を受け、その瞳は燃え上がらんばかりの色を宿している。その姿はこの世のモノとは思えないぐらいの凄みを纏っているが、それ以上の狂気を孕んでいる。
 しかし、エドモン・ダンテスの狂ったような笑い声は、突然止まった。
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