第20章 第3部 Ⅵ ※R-18
そうして、温かな雰囲気で式が進行していたその最中に、突如、武器を構えた男たちが大挙してやって来た。
「エドモン・ダンテス! 貴様を、政治犯として逮捕する!!」
目の前の青年は、あれよあれよという間に、男たちによって連れ去られてしまった。
「エドモン・ダンテス……?」
思わず、その名を口にしてしまった。ということは、茶髪の好青年は、アヴェンジャーの生前、復讐鬼と化す前の姿―――――?
最早、別人だとしか、思えなかった。確かに、言われてみれば、辛うじて声で同一人物と分かる。しかし、言われなければ絶対に分からないレベルだ。私がこんなことを思っている間にも、青年エドモン・ダンテスは連れ去られ、女性―――――メルセデスは、混乱して泣き叫んでいる。晴れやかな表情をしていたおじいさんは、何が起こったか分からないという表情で、その場に立ち尽くしていた。私の脚は、その場に縫い付けられているように、全く動かない。これも、シェイクスピアの宝具の効果なのだろうか?
やがて、青年エドモン・ダンテスの姿は、見えなくなってしまった。