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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第20章 第3部 Ⅵ ※R-18




『ここ、は……?』

 光が弱まってきて、私はやっと目を開けることができた。目を閉じていた時間は、どれほどのものだったのか、それもよく分からないけれど、ここは間違いなく、シェイクスピアの宝具が見せている世界だ。


 私の眼前には、木造の長椅子と、十字架がある。恐らくは昔の――――、少し古い時代の、西洋を思わせるような、小さな教会だった。手狭な空間で、内装は質素その物だ。しかし、周りの人間は、ニコニコと笑っている。晴れやかな表情のおじいさんが、一際目を引く。
 どうやら、西洋にある田舎町の結婚式会場のようだ。窓から外を見れば、さわやかな青空と、美しい海。
「し、新郎・新婦、入場―――――」
 司会の人間も、慣れた様子ではなさそうなところを見るに、この結婚式は、どこか手作りのような――――、そんな感じなのだろうか。
 慣れない雰囲気の進行に合わせて登場してきたのは、簡素なドレスに身を包んだ、美しい女性だった。その瞳は、上品でありながら凛とした光を湛えており、その長く色素の薄い髪は、結い上げられていた。その女性をエスコートしているのは、日焼けした肌が眩しい、好青年だ。茶色の髪は、元々の色という感じではなく、日焼けで色が褪せてしまっているのだろう。
 神父も、ふたりの知り合いなのだろうか。新郎・新婦に対して、陽だまりのような微笑みを向けている。

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