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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第19章 第3部 Ⅴ



***


 メモに記された建物へと忍び込む。特に、魔術的な結界が施されているということもない、普通の建物だった。なんだ、何もないのか……と、気を抜きかけた瞬間、どこからともなく、白い蛇が這い出てきた。

「……!?」
 アヴェンジャーは、物凄い速さでそれらの蛇を焼き払った。しかし、蛇に幾ら攻撃を与えても、脱皮を繰り返すだけで、有効打が与えられているようには見えない。アヴェンジャーが、蛇たちを物理的に踏みつけたところで、脱皮してそれを躱す。そうこうしている内に、アヴェンジャーと私は、あっという間に大量の蛇に囲まれてしまった。
「囲まれた……。」
 蛇1匹でも、その獰猛な目に睨まれていると、なかなか迫力がある。それが、大群で私を取り囲んでいるのだ。退路なんてあったものではない。でも、ここで引くわけにはいかない。私は、カルデアへ帰るんだ……!

「アヴェンジャー!」
 右腕に、鈍い痛み。微かな赤光が収束して、令呪が1画消費される。

『―――――――巌窟王(モンテ・クリスト・ミトロジー)!!』

 アヴェンジャーが、宝具を解放する。溜め込んだ怨念を一気に周囲へと撒き散らし、敵を疑心暗鬼に陥らせて同士討ちをさせるものだ。蛇にこちらの攻撃が通じないのならば、同士討ちに持ち込ませる。蛇同士の勝負がつかずとも、少なくとも宝具の効果が切れるまでは、こちらへ攻撃の牙が剥くことはない。

 狙い通り、蛇は互いに絡み合い、その牙を突き立て合い始めた。何とも、おぞましい光景だ。しかし、その光景は、突如として消滅した。

「――――!?」
「――――――――――――来るぞ、マスター。黒幕のお出ましだ。」

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