第19章 第3部 Ⅴ
「『The better for my foes and the worse for my boss.』か。」
アヴェンジャーは、流暢な発音で、さらりと英文を読んだ。
「英語……。」
「嗚呼……。『敵のおかげていいめを見、上司のおかげで悪いめを見た』……ぐらいの訳になろうな、この場合。」
「フン。あの脚本作家を信じてやる義理も無いが、好機であることに違いは無い……か。」
シェイクスピアのことを全面的に信じるというわけではないが、これはきっと何かのヒントだとは思う。それに、協力体制を申し出てくれたし、彼のお蔭で敵の戦力を大幅に削ぐことができたのだ。それは、紛れもない事実だ。
「連戦になると思うけど、大丈夫?」
「無論だ。」
アヴェンジャーと私は、メモに示された場所へと、足を進めたのだった。