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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第19章 第3部 Ⅴ




「おふたりとも、お疲れ様でした! ……ところで、吾輩のこと、忘れてません?」
「あ。」
 いつの間にか姿を現していたシェイクスピアが、まじまじと私を眺めていた。自分から消えておいてその言い草は無いような気もするが。

「まぁ、いいでしょう。この辺りから、吾輩の魔力を感じます。」
「ここ?」
 私は、言われた箇所の壁を、コンコンと軽く叩いてみた。が、正直なところ、よく分からない。
「確かに、この辺りの壁は、些か薄い。」
 私と同じように、壁を軽く小突いていたアヴェンジャーが、静かに所感を述べる。
「分かるの?」
 アヴェンジャーは、私の言葉に、浅く頷いた。
「かなり広い空間だ。」
「因みにこの壁は、ただの土壁。ですが、魔力はあまり使用しない方がよろしいでしょうなァ。それこそ、気付かれるリスクがありますから。」
 シェイクスピアが、顎に手を当て、大袈裟に嘆息する。

「フン。心得ている。」
 そう言ってアヴェンジャーは、黒い手袋を嵌め直し、足を肩幅に開いた。そして、右足を軽く後ろに提げてから、渾身の突きを繰り出した。
 ……もはや、黒炎による攻撃は、しばらく見ていない気がする。魔力節約を目的とした戦闘方法ということぐらい、私も分かっているが、それにしたって見事な格闘術だ。時と場合によっては、黒炎による攻撃よりも有効な手段なんじゃないかと思えるぐらいには。
 土壁の一部が崩れる。崩れた箇所を強引に広げて、そこから内部へと侵入していく。

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