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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第19章 第3部 Ⅴ



「ゆくぞ、マスター。」
 アヴェンジャーが、静かに私の前へと立ったかと思えば、超々高速で敵へと突進する。今のアヴェンジャーは、明らかに攻撃の威力が落ちている。それでも、高速移動は可能だ。幸い、スプリガン系の敵は、攻撃力は凶悪だが、敏捷性という点においてはそれほど脅威ではない。それならば、敵に知覚される前に、高速で決めてしまえということだ。前回は先に気付かれてしまったので、どうしようもなかったが、今回は違う。アヴェンジャーは、死角から敵の背後へと回り込み、空中へと跳び上がった。そのまま、頭部と胴体の間を狙って、渾身の蹴りを繰り出す。スプリガンは、完全に虚を突かれたといった具合で、そのまま崩れ落ちた。
 普段は、黒炎による攻撃がメインだから忘れがちだが、元々アヴェンジャーの“筋力”は、接近戦を得意とするセイバーやランサーたちにも何ら引けを取らないレベルだ。無論、今は出力が低下しているので多少は落ちているのだろうが、それでも接近戦を挑むのに充分なものだろう。
 アヴェンジャーは、地面へと倒れたスプリガンの頭部に向かって、更に踵落としを喰らわせていた。頭部が完全破壊されたスプリガンは、ピクリとも動かなくなった。

「戦闘終了。お疲れさま、アヴェンジャー。」
 私は、急いでアヴェンジャーへと駆け寄る。
「一度見切ってしまえばこの通りだ。」
「怪我は?」
「無い。」
 アヴェンジャーは、着崩れてしまった和服を軽く直しながら返答する。その姿が妙に色っぽくて、私は顔を逸らしながら会話する。
「良かった……。」
「では、進むか。」
「ありがとう。私、また助けられちゃったね。」
「気にするな。」



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