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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第19章 第3部 Ⅴ


「……。」
「名も知らぬマスター殿。吾輩、かれこれもうずっとこの椅子に縛り続けられ、立ち上がることすらできていません。幾らサーヴァントといえども、このままでは精神を病んでしまいます! それに、急がなくてよいのですかな? 今は恐らく、稼働中のモノはほとんど無いハズです。それに、吾輩が強化を施したモノの多くは、元人間でしたから。減らせるときに、その数を減らしておくのが賢明ではありませんかな?」
 どう考えたって、私たちにとって都合の良い話だ。敵の数が多すぎることが悩みだったのだが、この提案に乗れば、それが一気に解消される可能性がある。すぐにでも飛び付きたい話だ。でも、術者を無力化するということは、シェイクスピアを倒すということに他ならない。
「んん? 何を迷っておられるのですかな? ふーむ。元々サーヴァントとは、影法師のようなモノ。それに、今回の召喚は、吾輩も真っ青になるほど、過酷な条件でした。正直、この霊基ですら投げ棄てたくなるほどに。ですが、吾輩が自害出来ぬよう、召喚直後に術式を組み込まれました。その結果、過酷な中で執筆活動を続けるしかなくなり、今に至っている次第です。どうでしょう、名も知らぬマスター殿。ここはひとつ、この哀れなサーヴァントを助けてはいただけませんかな?」
「……。」
 そういう事情があったのか……。それならば、ここは一時的に協力体制を敷くのも良いかもしれない。
 アヴェンジャーの目を見る。黄金の瞳は、静かに燃えるばかりだ。
「わかった。そういうことなら、助け合おう。」
「ありがとうございます、マスターのお嬢さん!」
 アヴェンジャーは、シェイクスピアに巻かれている鎖を両手でつかむと、そのまま力任せに引き千切った。鎖はパラパラと音を立てて砕け散り、やがて消えた。
「吾輩、この御恩は忘れません! ささ、見つからないよう、早く格納場所へ向かいましょう!」
 シェイクスピアは、先程まで縛られていたことが嘘のように、意気揚々と歩きだした。

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