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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第19章 第3部 Ⅴ


「で? この状況は何?」
「えぇ、えぇ……。名も知らぬお嬢さん……。あ、サーヴァントを連れておられる?ということは、マスターですかな? まぁ、細かいことはこの際良いでしょう! 吾輩の話を聴いてくれるのですかな!?吾輩、これでやっと……! いや、失礼。吾輩、生憎今はもう両腕しか自由の無い身でして。」
 話している最中も、シェイクスピアの両腕は、さながら自動書記機のように忙しなく動いている。まるで、彼の意志など介在しないように。
「では、その舌を灼(や)くか? 劇作家よ。」
「ははは。冗談が通じませんなぁ。そして、吾輩マジでそれだけは御免被りたい。やめてください。お願いします。というか、其方は吾輩のことをご存知な様子で? まぁ、此処ではない何処かで、縁を結んだのでしょう。サーヴァントとはえてしてそういうものですな。『They have their exits and their entrances;And one man in his time plays many parts』といった具合ですかな。ははは。吾ながら、上手いことを言いますな。」
「『それぞれ舞台に登場してはまた退場していく。人はその時々に色々な役を演じる』か……。我々サーヴァントは人ではないが。さて、劇作家よ。貴様が此処で囚われているのは分かった。しかし肝心なことを喋っていない。お前は此処で何をさせられている?」
「先程も言いました通り、執筆ですよ。」
「ふぅん……。」
 言いながら、アヴェンジャーは、床に散っている原稿を数枚拾い上げた。そして、その上に目を走らせる。私も、原稿を見てみたけれど、当然それらは英語なので、すぐには訳せない。何とかして分かる単語を拾い読みしようとしたけれど、その間にアヴェンジャーは次の原稿へと移ってしまい、私は諦める他に無かった。

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