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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第19章 第3部 Ⅴ



 私の目の前に広がった光景。それは、小さな学習机と付属の椅子に、文字通り縛りつけられたシェイクスピアが、唯一自由になるのであろう両腕だけを動かしてひたすら紙にペンを走らせている光景だった。特に、足は鎖でぐるぐる巻きにされている。サーヴァントを縛っていることから、それなりに魔術的な道具なのだろうとは思うけれど、それ以前に、ツッコミどころが多すぎる。

「ん? 客人ですかな? 生憎吾輩は、ご覧の通り絶賛執筆活動中でして。……まぁ、正直もう筆を折りたい次第ですが……。そうもゆかぬのが、今の吾輩です。どうしてこんなことになってしまったのか……。訳の分からない舞台に降り立ったと思えば、謎の蛇たちに襲われまして。戦闘力皆無の吾輩はそのまま生け捕りにされ、以後はずっとこの有様。適度に休憩を挟もうとしても、定期的に監視が来る……。『One sorrow never comes but brings an heir. That may succeed as his inheritor.』とは言いますが、まさにこのこと……!」

 いつものように分かり易く和訳はしてくれないのだろうか。それとも、そんなに余裕が無いのだろうか? それならば、自分の著書からの引用なんてやめればいいのに……!

「意味が分からない……。」
「『生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。』『けれど、“これが最悪だ”と言えるうちは、まだ最悪ではない』『悲しみは独りでは来ない。その悲しみは、その後継ぎとなるような連れを必ず伴ってやって来る』」
 アヴェンジャーは、私が理解できないであろう英語部分を見事に和訳してくれた。けれど、この場合、ツッコミたいのはそこじゃない……!


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