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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第19章 第3部 Ⅴ



 アヴェンジャーと私は、再びスプリガンと戦闘した場所へと来ていた。アヴェンジャー曰く、気になるところがある、ということだった。私には、何を気にする余裕も無かったけれど、ここはアヴェンジャーを信じる。

「大丈夫? また、戦闘になるかもしれないけど……。」
 アヴェンジャーの霊基は、出力が落ちている。悔しいことだけれど、私には治せない。戦闘になりませんようにと願うしかない。その無力さに、足が竦む思いがした。
「無論だ。」
 短い返答。その力強い声に、私は背中を押される心地がした。私は1歩、また1歩と、通路の床を踏みしめる。


 相変わらず、通る者に窮屈さを感じさせる通路。息まで詰まりそうだ。

「この奥……。何か感じる。」
 アヴェンジャーは、通路の奥、暗闇をじっと見つめた。
「……?」
 私は目を凝らしてみるけれど、ただ闇が溜まっているだけのようにしか、見えなかった。
「微かだが、魔力が漏れている。加えて、サーヴァントの気配だ。魔力の発生源は十中八九それが原因だろう。マスター、戦闘になるかもしれんが、いけるか?」
「……うん。」
 勇気を振り絞って、出来るだけ力強く頷く。

 私が頷いたのを確認すると同時に、アヴェンジャーは私を少し下がらせた。いやいや、目の前にあるのはただの壁なんだけど……、なんて思った瞬間、アヴェンジャーの回し蹴りが、壁に炸裂した。
 ズドン、と凄い音がして、壁が崩れる。なんかもう、ギャグマンガのような展開だ。そんな感想が私の口をついて出てくる前に、粉塵が舞い上がる。その粉塵が地面へと落ちきる頃には、何というか……。哀れな光景が広がっていた。

『To be,or not to be:that is the question.』

 どこかで聞いたような声。というか、わりとよく知った声。
 聞こえてくるのは間違いなく英語だが、私にリアルタイムでの和訳なんてできないので、意味は分からない。

『But,the worst is not,so long as we can say, “This is the worst.”』
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