第18章 第3部 Ⅳ ※R-18
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暗い、暗い闇の中、ただひたすらに沈んでいく。
このような場所で霊基が失われれば、カルデアで再召喚されることも難しいだろう。しかし、不思議と恐怖はない。
ただ、そう―――――、あるとすれば、それは焦がれんばかりの感情である。
(…………俺を、呼べ―――――)
「……、アヴェンジャー……。」
どんな小さな声であっても、巌窟王の耳には、絶対に届く。
最早火種とも言い難いほどの小ささになった巌窟王の霊基に、再び魔力が巡る。魔力量は充分とは言えない。しかし、復讐鬼は虎のように吼える。
「―――――俺を、呼んだな! 復讐の化身を!」
虎は、煌々と燃え盛り、駆ける。
遥か、己のマスターの元へ。
再構成されていく、霊基。欠損があるが、それが何だ。今はただ、虎の如くこの地を駆けるのみ。
「アヴェンジャー……。ありがとう。来てくれて。君が来てくれて、すごく安心した……。」
(俺を――――復讐鬼である俺を、心より求めたお前に、最上の感謝を。俺は、その心にこそ、応えよう。我が唯一の主にして、共犯者。恩讐の彼方に何があるか、お前にも見せてやろう。)