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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第18章 第3部 Ⅳ ※R-18



「――――――……。」

 巌窟王は、その指先から、自らの霊基を黒い炎へと変えていく。

『……面白い。だが、消滅するぞ?』

 声が聞こえる。しかし、巌窟王は続行する。既に、声を出す機能も失われている。思考も、薄れていく。霊基が、所々ひび割れていく。欠損部位がどこかは分からないが、確実に、己の霊基は損傷している。当然のことである。巌窟王は、名実ともに、ただひとつ、蝋燭(ろうそく)に灯されるほどの“黒い炎”へと、自らを改造したのだから。

『ふはははは! 成る程な。此方の手にかかるよりはマシという訳か! ならば、そこで消えるがいいさ!』
 声は、高笑いを残して、結界ごと蛇を撤退させた。
 その声の言う通り、巌窟王の霊基は、保っても数時間だ。その間に、何らかの形でマスターから喚ばれなければ、彼は文字通り風前の灯火となって消滅する。

―――――意識を完全に失う前に、巌窟王はひとつの宝具を、自らにかけた。

『……待て、しかして希望せよ(アトンドリ・エスペリエ)』


 マスター、リツカ。
 もし、あの少女が己を喚ぶことがあれば、その時にこそ、この宝具が解放されるようにと、残り魔力を全て注ぎ込んで、仕掛けた。そうして、無力な残り火となった巌窟王は、仮死の眠りへと就いたのだった。








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