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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第18章 第3部 Ⅳ ※R-18



「フン。この俺をそう易々と捕らえられると――――――ッ!?」
 巌窟王が振り上げた右手に、白い蛇が巻き付いている。
「――――!?」
 腕に、何かが突き刺さるような感覚があった。予想外の事態ではあったが、巌窟王はその炎で焼き尽くす。同時に、注入された毒成分を解析する。
(先程までとは異なるパターンか……? 致死性でも麻痺性でもない……。神経毒でもなければ、仮死の類でもない……。)
 思考しながらも自らの四肢に絡みついてくる蛇を焼く。しかし、そうしている内に、身体に変化が現れてくるのを、巌窟王はハッキリと感じ取っていた。

「フーッ、フーッ……!」
 心拍数が上昇し、呼吸が荒くなる。それに伴い、魔力消費量も増加していくのを感じていた。

(何だ……? この感じは……。)

 そのうちに、身体の自由が利かなくなる。全身の触覚が研ぎ澄まされ、動きが鈍くなってくる。
 蛇が、両脚、腕、胴体へと絡みついてくる。黒炎の出力が低下する。それでも、蛇を順々に焼却していくが、いよいよ追いつかなくなってきた。両腕を拘束されて自由を奪われ、下半身は軽く麻痺している。あらゆる“毒”に対して耐性のある巌窟王の自由を制限するだけの毒である。生身の人間であれば、間違いなくショック死しているであろう分量が盛られている。

「――――フーッ、フーッ……!」
 そのうちに、自由の利かなくなってきた巌窟王の身体を伝って、蛇がその上半身へと這い上がって来る。その感触の気持ち悪さに、巌窟王は嫌悪感を殺しきれず顔を顰めた。
 小ぶりの蛇は、巌窟王の首筋に巻き付き、その喉笛に牙を突き立てた。
「――――ぐ……ッ」
 牙から、少量の液体が流し込まれる感覚。同系統の毒だった。蛇は、もう一度巌窟王へとその牙を突き立てようとしたが、寸でのところで、灰となった。しかし、蛇を焼けども焼けども、その数が減ることはない。
 蛇の動きは勢いを増し、巌窟王へと進攻する。蛇共は、霊衣の上からでも、容赦なくその牙を突き立てるようになってきた。霊衣を構成する魔力も乱れ、やがてその服は喰い千切られていく。一度乱されれば、後は時間の問題だった。
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