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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第18章 第3部 Ⅳ ※R-18



 結界の中、どこからともなく白い蛇が這い寄って来る。体長や太さはまちまちだが、どれも1メートルは超えている。それが、数十匹単位で出現してくる。
「邪魔だ。」
 巌窟王は、短く言い放ち、片っ端から蛇を焼いていく。蛇の体には毒成分が含まれているのか、巌窟王の肌がピリリと痺れた。

(この蛇共、サーヴァントではない。かと言って、通常のエネミーとも異なる。魔術師共の扱う、使い魔か?)
 出現する蛇の群れを、ひたすら焦がしては、消し炭にしていく。サーヴァントにとってみれば、それほど強力ではない毒だが、人間ならば少し体内へ入り込んだだけでも、動けなくなるレベルの代物だ。致死性ではなく麻痺性であるらしいが、危険な事には変わりない。毒の成分を解析し、それが体内に入った瞬間に、毒の炎で中和することによって対処する。
そのうちに、結界内に声が響く。
『……大したものだ。この数を単独で捌くか。それに、蛇の毒へも対処してみせるとは。』
 声は、成人男性のものだろうが、そんなものは魔術やスキルでいくらでも偽装できるので、あまりアテにはならない。

「フン。この程度の毒、多少の知識があればすぐに対処できる。化学(ばけがく)には心得があってな。」
『では、数を増やすかな。』
 結界内に出現する蛇の数が増える。だが、巌窟王はそれすらもまとめて焼き払う。
「この俺に、結界など無効だ。」
 巌窟王を“閉じ込める”ということが、そもそも悪手だ。どのような牢獄でさえ、巌窟王は脱する。黒い外套を翻し、巌窟王は結界の端へと辿りついた。本来であれば、このような結界の場合、基点となるポイントを破壊するのがセオリーだ。しかし、巌窟王に限って言えば、そのような手順は不要だ。彼は、いや、彼であれば、どのような場所からでも、“脱獄”することが可能なのだから。

「―――――はァッ!!」
 巌窟王は、不可視の壁へと、その拳を叩きつける。会心の一撃だった。結界の壁は見事に破壊された。


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