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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第18章 第3部 Ⅳ ※R-18




(―――――、ここは……?)

 巌窟王の目に飛び込んできたのは、小さな商店の立ち並んでいる通りと、和服を着ている人々、あとは、派手な着物と装飾に身を包んでいる女性の姿だった。
(……日本、か……?)
 立て看板の文字や、和服というキーワードから、巌窟王はこの場所が日本であると推測する。しかし、1999年の新宿の様子とは、かなり様子が異なっていることから、時代が異なるのだろうと考える。車やバイクなどという物が一切見当たらず、往来を行く人々は皆、和服を着ている。ということは、少なくとも100年以上は前の時代ということになるか? 巌窟王は、聖杯から与えられた知識を元に推測する。
 同時に、マスターである少女の気配を辿ろうと試みる。

(……!)

 微かにではあるが、彼女の気配を感じる。魔術的なジャミングでも施されているからだろうか。反応が辿りにくいが、間違いなく、この空間のどこか遠くない場所に、彼女はいる。
 彼女がいるであろう方向へ、目を凝らす。見れば、派手な振袖や装飾で自らを飾り立てた女性や、いかにも成金と言った風な男性が、大きな門をくぐって、日本風の建物へと入っていく。

(……まさか……。)

 巌窟王に、悪い予感が駆け巡る。いや、状況的には、もはや決定的だ。

(ここは、日本の娼館か……!)

 随分と悪ふざけが過ぎている。悪趣味に過ぎる。

(我がマスターを、奴隷の身分にまで貶めるとは、許せぬ。断じて許されぬ!)

 巌窟王は一瞬のうちに、全身に黒炎を滾らせる。己がマスターを辱めるということ自体、巌窟王にとってみれば最悪の挑発である。それも、このような得体の知れぬ空間に、罪なきマスターを閉じ込めるなど、巌窟王にとってみれば言語道断以外の何でもない。

 まずは、建物を軽く焼き払い、そこからマスターを捜索する。そう決めて、炎を放とうとした瞬間、巌窟王は結界の中に囚われた。
「……ほう、やはりか。」
 巌窟王に、別段驚きの感情は湧き上がらなかった。寧ろ、遅いぐらいだと感じていた。少女の味方をするサーヴァントは、少女の魂をこの場所へ引き摺り込んだ張本人からすれば、障害物以外の何者でもない。邪魔者は、早々に潰しておくのがセオリーだ。故に、この展開はどう考えても必定である。
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