第18章 第3部 Ⅳ ※R-18
「……、ご馳走様でした。」
知らず、喉が渇いていたらしい。私は、一気に飲み干してしまった。
「もう一杯どうだ?」
「ううん、充分。ありがとう、アヴェンジャー。」
「いや、礼は不要だ。昨夜、お前には随分と負担をかけたからな。」
そう言って、アヴェンジャーは目を伏せた。
「ううん……。全然平気。気にしないで。」
ううん、本当は、本当は。
私は、アヴェンジャーとひとつになれたことが、嬉しかった。
マスターとサーヴァントで、緊急事態だったから。そんな理由で、アヴェンジャーは体を重ねた。それだけの話だ。でも、それでも、私にとっては幸せな事だったんだ。
「……私はむしろ、嬉しかったから……。」
最後は消え入るような声で。それでも、自分の気持ちを口にした。
「愚かな娘だ。永劫の復讐鬼に犯され、嬉しいなどと……」
アヴェンジャーは、顔を伏せながら、言葉を漏らした。
「うん。……おかしなマスターでゴメンね。」
エドモンは、未だ布団の上で座っている私を抱き寄せた。
「それも、このような忌々しい場所で、魔力を譲渡する目的での行為など……。」
アヴェンジャーは、腕の力を強めた。
「もし、願うのならば……。」
そう言いかけたとき、ふと腕の力が緩まった。
「……?」
「……いや。忘れよ、マスター。」
そう言ったきり、アヴェンジャーは黙ってしまった。
ほどなくして食事が運び込まれ、私は布団から出て、それを無言で口へと運んだ。それほどご馳走ではないが、味はそこそこに美味しい。