• テキストサイズ

恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第18章 第3部 Ⅳ ※R-18



 食べながら、私は考えていた。
 昨日の戦闘で、私は間違いなく、令呪によって宝具解放用の魔力を補填した。しかし、宝具解放後のアヴェンジャーには、ほとんど魔力が残っていなかった。それだけじゃない。これは、私の主観的な感想なので、本当のところは何とも言えないのだろうが、アヴェンジャーの戦闘行動全体が、普段と比べて出力が低いような気がする。咄嗟の時の動きや、黒炎の威力。それに何より、戦闘時ですら、ただの和服姿でいるということだ。普通、サーヴァントは、それぞれが自らの魔力で編み上げた霊衣を身に纏う。カルデアの中でなら、鎧の一部をオフするサーヴァントもいれば、魔力に依存しない現代服を身に纏うのを好むサーヴァントもいる。マシュのように普段着へと着替えたりするサーヴァントもいる。しかし、戦闘ともなれば、たとえカルデア内でどんな格好で寛いでいようとも、瞬時に戦闘用の霊衣を身に着けるものだ。例外はあるのだろうが、それがサーヴァントにとって、最も“戦闘に適した”姿だからだ。しかし、アヴェンジャーはここへ来てから、一度だっていつもの外套を身に着けてはいない。アヴェンジャー自身は、目立ち過ぎるからだと言っていたが、スプリガンとの戦闘時に、私以外の人間はいなかった。それなのに、何故わざわざ動きにくい和服で戦闘を行っていたのか?
 ひとつの仮説を立てる。もしかして、いつもの外套を「着ていなかった」のではなく、「着ることができなかった」のではないだろうか?
 いくら首をひねってみても、結局のところ、分からない。もうこうなれば、本人に直接尋ねるしかない。そう思って、私はアヴェンジャーへと話し掛けた。どうせ、午前は動かない方が良いと言われた身だ。
「ねぇ、アヴェンジャー。」
 食事の最後の一口を飲み下してから、口を開いた。

「何か、隠してない?」
 私の声は、私が予想するよりも、和室内に響いた。
「……。」
 アヴェンジャーは、此方を見てはいるが、黙っている。
「だって、おかしい。令呪で魔力を補填したのに、宝具解放した後には、殆ど魔力が残ってなかった。戦闘だって、いつもよりも、なんとなく、勢いに欠けるっていうか……。それに、その服……。いつもの外套は?」

/ 312ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp