• テキストサイズ

恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第16章 第3部 Ⅱ ※R-18



 刹那、私の視界が黒で埋め尽くされた。同時に、お初の悲鳴が、私の耳をつんざいた。
「これ以上はいい。個室へ行くぞ。」
 アヴェンジャーに手を引かれ、奥の個室へと移動する。

 部屋に着くやいなや、私はその場に座り込んだ。胃の中の物が、喉の辺りまでせり上がってくるのを感じた。遠くで、お初の悲鳴が聞こえた気がした。それとも、彼女の悲鳴が、私の耳にこびりついているのだろうか? 分からないが、とにかく気分が悪い。
「ぁ、ありがとう、アヴェンジャー……。」
 私は、力なくアヴェンジャーへと礼を言う。

「あの子、お初っていうんだけど……。……、助けられない、かな……。」
「危険だ。」
 アヴェンジャーは、キッパリと答えた。
「……。」
「未だ情報が少ない中で、派手な行動に出るのは自滅行為だ。今は諦めるのが賢明だ。」
「……、でも……!」
「此処には、少なくとも普通の人間ではない存在がいることを忘れるな。お前をおびき寄せる為の罠、というのもありうる話だ。」
「……。」
 私は、奥歯をギリリと噛みしめた。
「耐えろ、マスター。今のお前に配下は独り。礼装のバックアップも無ければ、カルデアからの支援も無い。慎重に行動することだ。」
 そうだ。今の私は、カルデアからの援助も受けられないし、礼装にセットされた魔術だって使えない。サーヴァントだって、アヴェンジャー1騎という状況だ。確かに、アヴェンジャーは強力なサーヴァントだけど、それだって限度がある。いつもなら、魔力だってカルデアから自動的に供給されるから、よほどでもない限り、魔力が枯渇状態に陥るなんてことは無い……あ。
 そう言えば、ここへ来てから、アヴェンジャーはどうやって魔力を回復しているのだろうか……? パスを辿り、慌ててアヴェンジャーの残り魔力を調べる。
/ 312ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp