第16章 第3部 Ⅱ ※R-18
アヴェンジャーが出ていってすぐに、私は初老の女性に肩を叩かれた。
「今日は、楽しい見世物があるからねェ? 皆、すぐに大広間へ行きな。始まっちまうよ! ……っひゃ、あひゃひゃひゃ……!」
相変わらずの、この笑い声。私だって、自分を上品な部類の人間だとは言い難いけれど、この笑い方は、他人の神経を逆撫でするぐらいには、下品な笑い方だと思う。
「んあ? あんた、その髪飾り、どうした?」
私の髪についている鼈甲の髪飾りを、目ざとく見つけて、初老の女性はフンと鼻を鳴らした。
「あのお客様に買ってもらったんです。」
「ふぅん……。あんた、随分気に入られてるんだねぇ……。よくやった! 新入りのクセに、やるねェ! この調子で、あの客からドンドン金を搾り取りなァ!」
初老の女性は、それはそれは嬉しそうに、顔を歪ませて笑った。もう正直言って、この女性と話もしたくないが、ここを出るまでの我慢だと思うことにした。
「大広間で、何かあるの?」
近くにいた、富子に話しかける。富子は、私が問いかけても、青い顔をするばかりで、何も答えてはくれなかった。