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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第16章 第3部 Ⅱ ※R-18


「マスター、これを。」
 突然差し出された、紙袋。
 何かと思ってその袋を開けると、そこには先程の髪飾りがあった。
「……ぇ!?」
 驚いて、アヴェンジャーを見る。いやいやいやいや、これは、あの店で最高に値の張る品だったのではなかったか!? というか、私にアクセサリー!? なんで……? いや、嬉しくないわけじゃないけれど、そんなの、え……!? 私の頭は、混乱状態だ。
「入る前に付けておけ。」
「……へ?」
「あの遣手(やりて)に、見せてやれと言っている。」
「……?」
 遣手って、あの初老の女性のことだろうか?
「俺から貰ったと言え。目立つように付けておけよ。他の客への牽制だ。」
「ぁ、そっか……。」
 成る程。「あの客からこんなに高級な品を貰いました」と、吹聴しておけば、遊郭側も、アヴェンジャーが本気で私に入れ込んでいると思うかもしれない。他のお客を付けさせないための策略なのか。その気遣いに、私は胸がジンとした。
「あ、ありがとう……。」
 贈られた髪飾りを、そっと髪につける。
「それでいい。」

 そのまま、アヴェンジャーと私は遊郭へと戻ったが、今日は、営業時間開始が少し遅くなるとのことだった。少し急いで帰って来たのにと、肩透かしを食らわされたような心地がしたが、別段文句を言うほどのことでもない。初老の女性によれば、いつもより30分ほど営業開始が遅れるだけだとのことだった。その為アヴェンジャーは、入れないということになってしまった。
「……仕方あるまい。では俺は、それまでの時間に、仕事を済ませてくる。」
「うん……?」
『マスター、これほど大勢の人間の前だ。何かを仕掛けてくることは無いだろうが、油断はするな。俺はこの間に、資金の調達を済ませてくる。』
 頭の中に、アヴェンジャーの声が直接響く。念話だった。
『分かった。何かあったら、すぐに呼ぶから。』
『ああ。』
 短い念話を済ませ、アヴェンジャーは出ていった。


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