第16章 第3部 Ⅱ ※R-18
「高いの……?」
値札が見当たらないが、高級品であることは疑い無さそうだ。
「フン、さあな。だが、この店の中では、最も値の張る品だろう。」
「へ、へぇ~……。」
すごく可愛い品だけど、文字通り高嶺の花ということだろう。やはり、美しいものにはそれ相応の値段がつくのだ。
アヴェンジャーは、髪飾りを棚に戻し、他の商品を物色し始めた。何でも、帯留めが欲しいとのことだった。同じく鼈甲の帯留めを見つけて、アヴェンジャーンジャーは興味深そうにしていた。黄金色に燃えるようにも見える鼈甲は、アヴェンジャーの瞳を連想させる。
私は、会計を済ませるというアヴェンジャーを、店の外で待つことにした。しばらく経つと、黒い帯の上から、購入したばかりの、鼈甲の帯留めを付けたアヴェンジャーが来た。アイテムをひとつ足すだけで、さらに高級感が出るから、小物って不思議だと思う。アヴェンジャーは、どこからどう見ても、お洒落でお金持ちの美丈夫だった。
さて、もうそろそろ遊郭に戻らなくては。アヴェンジャーと私は、来た道を引き返した。
大門をくぐろうというときになって、アヴェンジャーが、突然その歩みを止めた。