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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第16章 第3部 Ⅱ ※R-18



 雑貨屋の暖簾(のれん)をくぐれば、そこには所狭しと、和風の雑貨が並んでいた。扇子に、腕輪などの装飾品、小銭入れなど、男性用・女性用関係なく、アイテムが雑多に陳列されている。奥の仕切られた一角に、「高級品」と書かれた張り紙付きの棚があった。
 アヴェンジャーは、その棚にある小物をひとつ手に取り、じっと眺めはじめた。
「お客様、お目が高いですねぇ。」
 店員の女性が、アヴェンジャーに話し掛ける。アヴェンジャーは、女性を見ることもなく、その小物を光に透かしている。
「それは、職人が丹精込めて作り上げた、一品物でございます。」
 アヴェンジャーの手元を覗き込むと、そこには、1輪の華をかたどられた美しい髪飾りがあった。一体何の素材なのか、私には分からなかったけれど、とにかく透き通るような美しい黄色に、濃褐色の斑点が少しだけ浮かんでいる。半透明なそれは、陽の光を受けて、アヴェンジャーの手の中で美しい輝きを放っている。私は、その美しさに、思わず目が釘付けになってしまった。
「えっと、それ、何……? すごく、綺麗だけど……。」
 見たことがあるような気もするけれど、名前が分からない。
「鼈甲(べっこう)だな。」
「べっこう……?」
「ある種のウミガメの甲羅を加工したものだ。黄色い部分が多ければ多いほど価値が高いとされているが、此れはその中でも一級品だ。加工の腕も最高クラスだろう。これほど繊細な小物にも関わらず、歪みがひとつも見当たらない。」
「左様でございます。」
 店員は、ニコニコしながら、頷いている。
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