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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第16章 第3部 Ⅱ ※R-18




 10分と経たないうちに、アヴェンジャーは私の元へと戻ってきた。さすがはアヴェンジャー。仕事が早い。
「……まぁ、あまり長い間マスターから離れるわけにもいかなかったが故、収穫は少なかったが。」
「ううん。今は、どんな情報だって知りたい。」
 それでも、何も情報が無いよりは、絶対に良い。
「……そうか。ならば言う。恐らく、此処の脱出は、一筋縄ではいかぬ。」
「?」
「詳しいことを探るには至らなかったが、とにかく、あの浮世門から外へ出ようとしても、不可能だった。本来ならば、あの門を出れば、外へと出られるのであろうが、俺は出られなかった。何かに阻まれるような感覚があった。」
「えっと……?」
「つまり、特定の存在だけが通過できるか、或いは特定の人間は出られないような仕掛けが働いている可能性がある。」
「魔術的な結界……?」
「断定はできんが、その可能性が高い。」
「私は、その門を通過できないのかなぁ……?」
「分からんが、可能性としては限りなく低いだろう。魔術的な結界であれば、その結界を張った者が必ず存在するということだ。お前は、間違いなく何者かに“呼ばれて”ここにいる。お前を無事で出すということは無いだろう。それに、あの浮世門以外に、外へと繋がっている場所は見当たらなかった。」
「……。」
 予想はしていたが、改めてそう言われると、辛いものがある。
「じゃあ、もし戦闘であの門番を倒せたとしても、外へは出られないってこと……?」
「絶対とは言い切れんが、恐らくはそうだろう。それに、あの門番の一部は、恐らく人間ではない。」
「人間じゃない……?」
「あぁ。外面は上手く繕っているが、サーヴァントの眼は誤魔化せぬ。無理矢理に魔術回路を埋め込まれた者に、肉体改造を施されたと思しき者。気を付けろ、マスター。此度の罠も、随分と悪趣味だ。」
「……。」
「それに、悪意だ。他者に害をなそうとする醜悪な思念が、そこかしこから感じられる。……愉快犯か?……、隠しているつもりか知らぬが、この“復讐者”の眼を欺けると思ったか……。」
 途中からは独白のように、小さく、低く口にした。

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