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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第16章 第3部 Ⅱ ※R-18



「では、今日の探索範囲を決めるぞ。初日が故に、リスクの低い場所を勧めたいところだが、どうだ? それに、出入り口の確認だ。俺が見たところ、この遊郭で唯一の出入り口は、大門だ。そこを抜ければ、茶屋町へと出られる。さらにその先に、この敷地から外の世界へ出るための出入り口がある筈だ。まずは、そこを目指してみるか?」
 アヴェンジャーが、ここまでのことをいつの間に調べたのかは分からないが、とにかく、自分の足で調べてみない事には、何も始まらない。

「……行こう、アヴェンジャー。」

 余計な思考を頭から追い出し、自分の両頬をピシャリと両手で打って、気合を入れる。乱れた髪をさっと整えて、いつものゴムで縛る。その上から、シュシュを……って、あれ?
 ゴソゴソと、その辺りを探すけれど、いつものシュシュが見当たらない。どこかに、落としてしまったのだろうか? 絶対必需品というわけではないけれど、いつも身につけているものだから、無ければ無いで、落ち着かないような気もする。

「どうした、マスター?」
「ううん。何でもない。それより、早く探索へ行こう。」

 建物を出ようとすると、昨日の初老の女性が、「行ってらっしゃいませ」と声を掛けてきた。私は、振り返るのも嫌で、無視を決め込もうとした。
「旦那様、その娘の具合は如何でしたでしょうか?」
 アヴェンジャーは、歩みを止めて、その女性に振り返ることも無く、口を開いた。
「満足だ。」
「では、今宵は如何なさいますか?」
「無論、この娘を頼む。この娘には、今後俺以外の指名を入れてくれるな。」
 キッパリと、アヴェンジャーが言い放つ。
「では、その分の……」
 初老の女性の顔は全く見えないが、その貌は、恐らくいやらしくニヤついたものだろう。
「金ならば払う。二言は無い。」
「かしこまりましたァ……。ぁ、ひゃひゃひゃ……。あと、あんたは夜の営業時間までには戻って来るんだよ?」
 下品な笑いを、まるで隠せていない。私は心底不快な気持ちになりながらも、私を護ってくれるエドモンに、感謝するしかなかった。


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