第16章 第3部 Ⅱ ※R-18
アヴェンジャーと一緒に、状況を整理する。
今、アヴェンジャーと私は、何処の世界かは分からないけれど、カルデアとは違う世界の、遊郭にいる。寝て起きたら朝だったところを見ると、時間の流れ方は、元の世界と同じようだ。
遊郭には、沢山の職員(?)がいて、私ひとりでは逃げ出せそうにもない。
昨日は、気持ちの悪い、太った男性に買われそうになっていたところを、アヴェンジャーが助けてくれた。40両という金額で、大層なお金らしい。
「そう言えば、40両だっけ? すごい金額らしいね? どうやって用意したの?」
気になっていたことを、ぶつけてみた。すると、アヴェンジャーは、あからさまに顔を顰めた。
「お前、本気で言っているのか? 次に同じことを言えば、口を塞ぐぞ。あの程度の小銭で、自らのマスターを買収する羽目になるとは。怒りを通り越して、呆れてモノも言えんほどだ。」
アヴェンジャーは、そう言って私へ鋭い視線を飛ばした。あの初老の女性が興奮するぐらいの金額なのだから、大層な金額なのだろうが、【スキル:黄金律】をAランクで保有するアヴェンジャーにとっては、あの程度は小銭らしい。
「それより、マスター。此処へ来てから、お前の魔力が俺へと流れてこない。契約は確かに続いているはずなのだが……。」
アヴェンジャーはそう言って、顔を曇らせた。
今まで、混乱でそれどころではなかったけれど、改めてアヴェンジャーとの繋がりを確認する。令呪は、確かにこの手にある。アヴェンジャーのステータスだって、確かに確認できる。でも……。