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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第15章 第3部 Ⅰ ※R-18




「さて、今日からあんたたちは、新造(しんぞう)だよ。今日は水揚げ(みずあげ)だからね。実はもう、お客を待たせてる。富子……、いや、今日からあんたは富山(とみやま)と名乗れ。富山、ついて来な。」
 初老の女性は、富子を屏風で隔てられた部屋の奥へと連れて行った。そして、あわただしく部屋から出ていった。ほどなくして初老の女性は戻って来たが、その後ろには40歳ぐらいの、いかにもお金持ちそうな男性がいた。男性は、慣れた様子で、富子がいる部屋の奥へと足を進めた。

「富山、やり方は教えられてるね? ちゃんとおしよ? くれぐれも、殿方に失礼の無いようにね。初仕事で莫迦なことをやらかしたら、折檻が待ってるってことぐらい、あんたも分かってるね? それじゃ。」
 初老の女性は、喋りたいことだけを、少し離れた私たちにも聞こえるぐらいの大きな声で喋り、退室した。

 一体、何が何だか分からず、混乱の中にいると、富子のくぐもった声が聞こえてきた。

「……、っく、……っあ、ぁ、ん……っ、ひゃ、ぅ、う……んっ!?」


 背筋が凍った。そして、理解した。いや、理解せざるを得なかった。いくら頭の良くない私だって、さすがにこの状況を見て理解できないなんて、あり得ない。3人の境遇、富子と松子のあの表情、この着物の意味、あの金持ちそうな男性、……全てのピースが嵌まった。



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