第15章 第3部 Ⅰ ※R-18
「はじめまして。えっと……、私、松子(まつこ)っていいます。ここから結構離れた田舎から来ました。仲良くしてくれたら、嬉しいです。」
少し遠慮がちに、ひとりの少女が口を開いた。溌剌とした声に、大きなくりっとした目元。きっと、性格も明るいのだろう。はにかむように笑うその顔が、可愛らしかった。
「ぇ、えっと……。わたし、お初(おはつ)っていいます。父上は武士をしていましたが、病気で亡くなってしまって、ここでお世話になることになりました。よ、よろしくです……。」
下を向きながら、お初、と名乗った小柄な少女が口を開いた。はにかむ様子が何とも可愛らしかった。見た目だけでは何とも言えないが、恐らく、この4人の中では最年少だろう。少なくとも、私よりは年下な気がする。
「えっと……、あたしは、富子(とみこ)っていうよ。家は商いをやってたんだけど、失敗しちまってさ。それで、ここで厄介になることになった……ってワケさ。アンタは?」
富子から、視線を受ける。どうしよう。迷ったが、下の名前だけを名乗っておいた。カルデアから来ました、なんて言っても通じそうにもないので、「皆と同じような境遇だよ」とだけ説明しておいた。それでも、3人は特に私を怪しむ様子もなかった。どうやら、この場は上手く乗り切れたらしい。それにしても、ここは一体、どこなのだろう。この少女たちが詳しい事情を知っているとは思えないが、何も分からないままよりは良いだろう。この中では最も大人びている富子を見ながら、私は質問することにした。