第15章 第3部 Ⅰ ※R-18
そこからは早かった。
医療班がマスターを搬出し、メディカルチェック。案の定、何の異常も見当たらないどころか、肉体的には健康そのものという結果が出るばかり。医術や回復術に長けたサーヴァント達が次々と処置を施してみても、やはりマスターの瞼は開かない。
過去にも2度ほど、マスターがこのような事態に陥ったことがある。いずれの場合でも、マスターである彼女は、自力で元の世界へと戻って来た。しかし、今度という今度は、どうなるかなど分からない。
「センパイ、目を……、目を開けてください……!」
マシュ・キリエライトは、各種医療器材に繋がれながら医務室のベッドに横たわるマスターにしがみつきながら、悲痛な言葉を漏らした。
「私は、何もできませんが、せめてここで、……センパイと一緒にいさせてください……!」
泣き腫らした目で、マシュ・キリエライトは、横になるマスターの傍らに腰掛けた。
涙をその手の甲で拭い、折り畳みの簡易デスクの上に、ノートパソコンと資料を広げる。
「私は最後まで、センパイの頼れるサーヴァントでいたいですから。」
その瞳には、確かな決意が宿っていた。