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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第14章 第2部 Ⅳ



「行くぞ、マスター。」
 私が言葉に詰まっている間に、エドモンは、立ち上がった。
「で、でも……。」
「再三の忠告が聞こえなかったか? これ以上は危険だ。」
 エドモンは帽子を被り直し、出口へ向かって数歩足を進めた。私は、静かに深く呼吸をして、声を出す。
「……っ……! さようなら、ファリア神父さん! ……、っく……ぅ、ぁ、ありがとう、ござい、ま、した……!」
 結局私は、気の利いたことなんてひとつも言えずに、その場を離れることしかできなかった。ファリア神父の辿る運命を知っている私は、それ以上の事が言えなかった。代わりに、私の目からはとめどなく涙が溢れる。エドモンも、それ以上何も言わず、外套を翻して、元来た道を足早に進む。私はエドモンに追い付くべく、小走りになってその場を離れる。







「お嬢さん。貴女の未来に、希望の光があらんことを―――――――」


 別れ際、ファリア神父が、祈るような声でそう呟いたのは、幻聴だったのか。分からないままに、エドモンと私はすぐに地上にいる天草と合流し、カルデアへと帰還した。





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